【ご注意!】
いわゆるダブルパロ・リスペクトるーみっくお犬妖怪戦国御伽草子
主役少年の兄上と兄上が愛おしんでいる少女にかっとなってみたらとんでもない事になった、そんな感じです。
この人頭悪いんじゃね、馬鹿じゃねと一瞬でも思われた方やご自身の素敵な思い出、現在あの二人にときめいている心を穢されたくない方その他もろもろ危険を感じた方は今すぐブラウザを閉じて忘れてしまうのが身のためです。
そして桜乃の扱いが非常に悪い感じです!
というように非常に双方に喧嘩売ってる感じです。別にそう言うつもりではなかったんですけど、というのは言い訳にしかならないって知ってるよねわたし・・
あ、あと流血注意!桜乃さんがボロボロかつボコボコです。彼女のことは大好きなんですが信じてもらえるかな・・
上記がすべて大丈夫でなおかつ勇者でどんなのでも大丈夫(大事なので二回いいましたよ!)な方は下へスクロールどうぞ。





















村の北側は山に面している。鬱蒼と覆い茂った木々はその山を覆い、誰が言い始めたのかはわからないが、そこには妖怪が出るという噂が流れるようになっていた。
争いに巻き込まれ、大怪我を負った不二が身を寄せていた洞窟もその森の中にある。適度の人里から離れたそこは、怪我を癒すのに好都合だった。人の目につけばこれ幸いと、村人に殺されてしまうだろう。また、これ以上人里から離れてしまうと、今度は取り逃がした不二を殺そうとする追手に捕まってしまうだろう。不二にとっては遊び相手にもならぬ程度の力しか持たぬ相手だったが、侮っていた相手の術中に嵌り怪我を負ったこの身体では本来の力なぞ期待できるはずもない。矜持と状況を計りに掛け、ここまで逃げ伸びてきたのだ。
都合のよい隠れ家の傍には、清らかな湧水が小川を作っている。そこへ毎日通ってくる小さな子供がいた。
その子供はその村に住む誰よりも汚い着物を着ている。もはや襤褸布と言って差し支えない着物を、どうやら帯がないらしく藁で編まれた縄で胴体に巻きつけている。手足や頬は骨にかろうじて皮膚をまとっているといった体で、まるで棒きれを人に模した案山子のようだった。汚れているというのに気が付かないのか、その身体には沢山の垢や煤、泥に塗れており、据えた臭いが漂う。おそらく手入れをしたことがないだろう髪は、脂で固まっている。頭皮が痒いのか、真っ黒に汚れたボロボロの爪で掻くと、剥がれるように頭から湿った粉が辺りに落ちた。本当に汚い子供だった。不二はその子供が来る度に顔をしかめ、もう来るな、と呪詛にも似た言葉を吐いていた。だから、子供に声をかけたのは悪意半分の好奇心からだった。
「・・・お侍さん、人じゃないんですよね?」
酷い鼻声だった。笑顔を作って見せたようだったが、強張った容貌で作る表情は、今にも泣きそうな不細工なものにしかならない。ただ、不二はこの子供の感の鋭さには驚いた。不二を『人ならざる物』だと気が付いたのだ。
「お侍さんは妖怪?私、食べられちゃうんですか?ね、何でこんなところにいるんですか?怪我していますか?大丈夫ですか?お腹すいてますよね?あ、でも私お侍さんたちが何を食べるのかよくわからないなぁ・・・」
子供は唾を飛ばしながら大声で質問を喚き立てた。話し相手がいるのがどうやら嬉しいらしい。子供は一通り質問を終えると、ちょっと待ってて、と言い、自分の身長の半分ほどはあろうかという木の枝を片手に洞窟を出て行った。
しばらくすると、花を片手に五、六輪ほど持って戻って来た。子供は不二の前に花を置くと、再び隙間の開いた歯を見せ、精一杯の笑顔を見せた。
「これ、甘くておいしいんです。お侍さん、食べていいですよ。あ、蜜の吸い方わかんないですよね」
そういい、子供は膝をついた辺りに手を彷徨わせ、指先で探るように花を手に取った。茎を慎重に手繰り、潰さぬ様気をつけながら花を茎から離した。そうしてそのまま口に含む。まるで子供の口から花が咲いているようだった。吸い終えたらしく、子供は花を大事そうに手に取った。確かめるようなその手付きに、不二は子供の目が見えないことにようやく気が付いた。

子供はそれから、毎日のように花を手に不二のいる洞窟を尋ねてきた。ほんの四半刻ほどしかいなかったが、子供は楽しげに自分のことを話した。毎日汲みに来ている水は、世話になっている屋敷の子の薬に使うのだとか。母親はやはり死んでしまっているのだとか。明らかに村中に疎んじられているということは不二にも容易に分かった。眼が見えないためだろうかとも思うが、不二にはよくわからないし、興味を抱かせることでもなかった。それよりも不思議だったのは、村八分ともいえるこの状況について、子供の口からそのことに関する恨み辛みは出てくることはなかったことだ。それよりも、自分を生かして居場所を用意してくれる村へは感謝すらしているようだった。ただ、子供の身の上話はすぐに尽きてしまい、そうすると外の話を不二に聞きたがった。村から一度も出たことがなく、生まれてからずっと眼が見えなかったのだという子供は、色も何も知らなかった。だから話す内容は苦労したが、広さや風の匂いはわかるようで、そんな話をしてやると子供は年相応に満面の笑みを浮かべる。強張っていた顔の肉が、ようやく素直に動くようになったころ、大分身体が自由に動くようになっていた不二が絞った手ぬぐいで身体の汚れを落としてやろうと、子供の服に手をかけた。すると、子供は慌てたように不二の手から逃れようと走りだす。だが、足元にあった木の根に足を取られ、顔面から転がってしまう。その拍子に腰紐の代わりにしていた古びた縄が切れてしまったらしく、合わせていた着物がはだけてしまう。子供は慌てて前を押さえるが、割れてしまった裾から見えた股間が幼い女のそれで、不二は慌ててそっぽを向いた。
「・・・すみません」
そう言って子供―少女は立ち上がり、砂を払う。それでも着物はしみついた汚れは落ちなかったが。
前を押さえてよろよろと歩き出した少女を呼びとめると、不二は自身の着物の裾を破き、簡単な腰紐の代わりを作ってやる。気持ちが悪いほど細い腰に紐を回すと、前でしっかりと止めてやった。近寄ると饐えた臭いがしたが、なぜか前よりかは不快な気分にはならなかった。光を映さない目をしっかりと覗き込んでやると、それに気が付いたらしく少女は泣きだしそうな笑顔を浮かべた。その表情に、勝手に身体が動き、不二は少女を胸に迎え入れる。逃がさぬよう、両手で包むように少女の身体を囲い込んだ。
「わ、私、汚いですから」
と慌てる少女に、不二は笑いながらその手を放してやる。薄汚れた皮膚の上からでもわかるくらい真赤になった少女はどこか呆けたように村への道をいつものように帰って行った。

翌日現れた少女は、顔に大きな痣を作っていた。だが、皮膚にこびりついた垢や汚れは大分落とされ、清潔なものとなっていた。髪は洗いざらしといった体で、解れていたが、少なくとも脂で固まっていたり、ふけがこびりついたりしているわけではない。身体から発していた饐えた臭いも大分薄くなっていた。汚れを落としてみると、少女は不二の目から見てもかなりの器量なのだということがわかる。今まで身なりなぞ気にしてはいなかったようなのに、なぜ急に、と思ったのか疑問に思い、どうしたのか尋ねてみると、しばらく考え込みながら、やがて観念したかのように口を開いた。
「お湯を、いただいたんです。これは」と痣の浮かぶ頬に指先で触れて「我儘を言ってしまったので、旦那様に」
すみません、と少女が呟くと、また恥ずかしそうに小さくなってしまう。少女の答えは、不二の疑問に答えるものではなかったが、その姿に、不二はふと手を伸ばしたくなった。なぜかは分からないが、好奇心が勝りその指を髪に伸ばす。もっと強張った感触がするかと思ったが、しなやかな指通りだった。髪の毛の先、中ほど、頭皮、耳、頬、首筋と順番に指を這わせ、肩に到達すると、手のひらで包み、身体を自らのほうへと導いた。少女はなされるがままで、ただ、先ほどよりも体温が上がっているようだった。脈も早くなっている。これも人間の機敏というやつの一つなのだろうか、と少女の反応を見ながらぼんやり考えるが、生憎不二にはそれが正解なのかどうかわからない。ただ、この抱きとめた物体が、・・・命が、酷く心地よいということだけははっきりと不二にもわかった。

ある日の昼前、不二の鼻についたのは血の匂いだった。数日前から近くで大きな人間同士の戦があったようだった。大方、単なる盗賊と化した敗残兵が近隣の村を襲っているのだろう。十分に注意するよう言い聞かせていたのだが、ただでさえ常人に劣る少女に咄嗟の対応が取れたのかどうかはわからない。大体、人間は自分たちより大分脆い。不二にとっては瞬きするのと同じくらいの力で簡単に四肢がもがれ、絶命してゆく。あの子も例外ではない。それに、いつも来る時間から半刻も遅れている。何かがあの身体に起こったに違いない、と不二は焦燥に駆られた。身体はもう問題ない。確かめる様に軽く握った手からは力が溢れ出ている。十分だ。そう不二は呟くと、刀を取り洞窟を出る。音もなく地面を蹴り、高く飛び立った。
村に降り立つと、そこは凄惨な有様だった。まるでそこが戦場だったかの様に、家々からは炎が上がり、田や畑を繋ぐ畦道には鍬や鋤を手に持ったままの男や女たちが物言わぬ姿と成り果てて辺りに転がっていた。血の匂いに寄せられて低俗な妖怪がすぐに嗅ぎつけるだろうと不二は思ったが、この村がどうなろうと知った事ではなかった。
不二は辺りを確かめながら目的の場所を目指す。少女が語った屋敷を。すぐにそこを見つけ、土足のまま屋敷の中に入ると、下卑た酒盛りをしていた男たちが早速絡んでくる。物も言わず刀を抜くと、瞬きをする間に三、四人の男の胴を薙ぎ払った。刃に付いた血の滴を振り払うと、倒れた男の着物を剥ぎ取り血を拭う。ごくごく自然に何の力みもなく一連の動作を行った不二に怖れを成したらしい男たちは、目線を向けられた途端に蜘蛛の子を散らすよう逃げ出して行った。残ったのは男たちの相手をさせられていた妙齢の女たちだけだった。酷く冷たい目をした不二は、女達からしたら到底助けだとは思えない。皆、同じ様に顔を引き攣らせている。その女たちがそれでも守る様に背後に隠した存在があることがわかり、不二は目をやる。そこに知った匂いを感じとり、傍に寄った。女たちは恐れと怒りが混じったように顔を酷く歪めながら、より強固に背後の存在を隠そうとする。動こうとしない女に痺れを切らし、一人の襦袢姿の女の胸倉を掴み上げた。女の脚先が宙に浮く。女は恐慌の表情を浮かべながら、出て行け、と力の限り叫び不二の顔に唾を吐いた。どの女も一様に同じ表情をしながら、不二の顔を見、背後の存在を守り通そうとする。焦れた不二が、全員切り捨ててしまおうと刀に手をかけた瞬間、女が弾かれた様に泣きだした。
「この子は、怖くて震えが止まらないのにそれでも私たちを守ろうとした! だから今度はあたしたちの番だ!」
その言葉に、不二は力を抜き、女の身体を静かに畳に下した。不二の纏う雰囲気が一気に柔らかなものとなり、それを感じた女達の表情が波が広がるようにゆっくりと怪訝なものに変わる。不二は腰に下げていた刀を外し、そばにいた女に手渡す。急に殺気を消した不二に女達は、その身体を押しのけても特に抵抗らしい抵抗は見せなかった。
そこに横たわっていたのは、やはりあの少女だった。雑巾のような襤褸布を身体に纏い、小さな身体でそこにいた女たちを守ろうと男たちに抵抗したのだろうか。弄ばれた末についたような刀傷がいくつもあり、そこからは一様に血が流れ出ている。身に纏う襤褸布は、すでに赤黒く変色していた。夥しい出血の量だったが、一番深い傷は腹に刺さったままの短刀のようだ。最も、短刀が止血栓となっているため出血に関しては傷の深さからしては大分少ないものだった。骨と皮だけの身体にどんな生命力があるのか不二にはわからなかったが、奇跡的に虫の息ながらも呼吸はつながっている。確かに心の臓器はどくどくと一定の脈を身体に巡らせている。ただ、このままではやがて死ぬだろうということは容易に考えられた。
不二は腹に深く刺さった短刀を抜いた。その瞬間、少女の腹から出る血の流れがより太いものとなった。何すんの、とある女は不二に喰ってかかろうとし、ある女は泣きながら血を止めようと自らの手を傷口に当て、ある女は包帯の代わりにと自らの襦袢を差し出そうとした。皆、一様に泣いていた。そこにいる誰もが少女を助けたいと思っていた。不二は小さく息を吸うと、女の手を退け、傷口に息を吹き込んだ。次の瞬間、そこに薄く膜が張り、流れ出ていた血が止まる。え、と女たちがその光景に目を瞬かせる。身体の中でも大きめの傷に順に息を吹き込み、粗方の出血を止めてしまうと、次は少女の力なく開いた唇へ唇を合わせ、息を吹き込んだ。次の瞬間、土気色だった肌はまるで息を吹き返したかのように元の肌色を取り戻す。そのせいか、数日前湯を貰う為に殴られたという痕もすっかり浮かんできてしまった。不二は目を細めてその痣を指の腹で撫でた。
息はもう元通りだった。状況を知らぬ人間から見たら、眠っているようにしか見えないだろう。
不二は少女の身体を横抱きに抱え上げた。女達は茫然としながらそれを見守っていたが、不二が少女を抱えたまま座敷を出ようとするのを見て、我を取り戻したように泣きながら少女の名を呼んだ。桜乃、と。



温かなからだ(2010/02/28)

卑怯とは知りつつあとがき
某るー●っく的某お犬妖怪戦国おとぎぞーしの某兄上と某少女(というか幼女)についうっかりかっとなりやらかしました。のとボイスあれ反則だと思います。
すみません、すみません。反省してないです。
あれ、時代的には400年前て安土桃山時代の少し前とかそのだと思うんですが「宙に浮く」とか「お侍さん」とかの表現て正しいのだろうか
まぁ「宙に浮く」はともかく「お侍さん」はこれは江戸期だろーな、階級固定されてからだろーし
ちょ、あとで調べてこっそり直すかも・・あんまり突っ込まないでごめんなさい
内容については私一人楽しくてすみません。反省はしないつもりですが少しくらいは反省したほうがいいかもしれない。


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